언론보도

冷静に過去と未来語れ 日韓国交正常化50年

  • 2015-06-22
  • 社説 (中日新聞)
日本と韓国が国交正常化の基本条約に調印して、二十二日で五十年、最近の関係は冷え込んだままだ。もう一度、対話と協力を軌道に乗せたい。

 

韓国の尹炳世外相が昨日、初めて来日し、岸田文雄外相と会談した。世界文化遺産に「明治日本の産業革命遺産」を登録する問題で、日本側は朝鮮人労働者の強制的な徴用があったとする韓国側の主張を一部反映する意向を示した。元従軍慰安婦問題も議題に上った。正常化五十年に合わせ、両外相が直接懸案を話し合い、対立の流れを変えようと試みた。

 

互いの変化知らねば

 

日韓関係の冷却化で、国民感情まで悪化している。言論NPOと韓国の東アジア研究院の調査によると、韓国に良くない印象を持つ日本人は52・4%、日本に良くない印象を持つ韓国人は72・5%に上った。

 

日本はサッカー・ワールドカップ共催や韓流ブームを通じ、韓国に幅広く関心を持つようになったが、繰り返し過去の問題を持ち出され、今では疲労感がにじむ。

 

韓国側は、残された歴史の懸案を解決してこそ、本当の和解が訪れると期待するが、理解を得られず、むしろ日本で嫌韓ムードさえ広がることに当惑している。

 

国民感情のすれ違いはここ数年、顕著に表れているが、背景には、日韓関係の構造的な変化があるとみるべきだろう。

 

五十年前、韓国は日本の協力をばねに最貧国から抜け出そうとしていた。今や民主化が定着し、IT産業を軸に経済力をつけ、国際社会での発言力を高めて、日韓は競争関係になった。

 

台頭する中国の存在も、日韓関係に影響を与える。朴政権は日本より中国を重視する外交姿勢をはっきりと打ち出した。韓国の対中貿易額は、対米、対日を合わせた額より多いうえ、北朝鮮の軍拡を止める影響力を期待するからだ。一方で安倍政権は、米国との同盟を強固にして中国の拡大抑止を目指す。中韓接近には警戒感をぬぐえないでいる。

 

日韓関係の冷却化は、互いの変化に冷静に対応しないまま、不信感を募らせているのが一つの要因ではないか。

 

「慰安婦」解決の道は

 

正常化五十年をきっかけに、もう一度、日韓基本条約の合意を確認し、歴史の懸案への対応を考えたい。

 

基本条約に付随する協定により、植民地時代に起因する請求権は「完全かつ最終的に解決した」と明記されている。

 

だが、旧日本軍の従軍慰安婦の問題は事情が込み入っている。朴政権は最も重要な懸案だと一貫して主張する。日本側は「解決済み」という立場だが、協定が結ばれた当時は議題にならなかったこともあり、一九九〇年代に「アジア女性基金」をつくって救済を図った経緯がある。

 

元慰安婦の生存者は五十人ほど、平均年齢が九十歳近くになったことを考えれば、人道的な見地からもう一度解決を図る必要がある。国連の人権委員会など、国際社会も取り組みを求めている。

 

韓国の支援団体は国家賠償を要求するが、日本政府は応じられないだろう。人権問題の完全解決という理念はわかるが、被害者が生存中に心身ともに救済するという目的を優先する方法を探るべきではないか。

 

朴槿恵大統領は先月、「外交は歴史問題に埋没しない」と述べ、経済や安全保障などでは歴史と切り離して対日協力を進める考えを示した。

 

環境、防災、観光などの分野では、これまでも連携してきた。韓国で広がる中東呼吸器症候群(MERS)の対策は、隣国同士すぐにでも話し合うべき課題だ。

 

経済は競争関係にあるとはいえ、IT関連での技術開発や、第三国でのインフラ整備で合弁事業を進めるなど、協力が期待できる分野がある。中国で生産される電子機器には、日韓のメーカーが作った部品、素材が使われている。経済は既に国境を越えている。足踏みしている日中韓の自由貿易協定(FTA)交渉を進めて、いっそうの経済協力ができる制度づくりを進めたい。

 

年内には首脳会談を

 

韓国の外交官たちは「私たちが直面する問題について、日本の取り組みは大変参考になる」と話す。急速に進む少子高齢化、非正規ばかりが増える雇用、都市と地方の格差、欧米に比べまだ不十分な女性の社会進出-。どれも日韓に共通する課題だ。

 

安倍晋三首相と朴大統領の首脳会談はまだ実現しないが、強硬だった韓国世論も軟化し、早期開催が必要とする声が増えている。多国間協議の機会を利用するなど、年内開催を目指すべきだ。