언론보도

いま“日韓”を話そう「未来への対話」から探る関係改善の道

  • 2014-07-23
日韓双方の国民感情が悪化している今、どうすれば関係改善への手がかりが見つけられるのか。日本のNPOと韓国の民間シンクタンクが主催し、両国の政治 家、研究者、ジャーナリスト、経済人が集まって18日にソウルで「日韓未来対話」が開かれた。「対話」の議論から、今の両国関係の問題点を浮き彫りにする とともに、関係改善への道筋を探る。出演:奥薗秀樹(静岡県立大学准教授)

 


 

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過去最悪と言われるほど冷え込んだ日韓関係。

 

歴史認識や、島根県の竹島をめぐる問題などで、主張がぶつかりあいます。

アメリカの仲介がなければ、首脳同士が会談することさえ難しい事態となっています。

有馬
 「今の日韓関係、国民はどう見ているのでしょう?」


日本の学生
 「歴史的に見ても相性が合わない国々なので、どうしようもない。」


日本の主婦
 「(韓国は)はっきりものを言う国なので、意思の疎通ができていないのかな。」


一方、韓国でも…。


韓国の学生
 「(関係改善のため)私にできることはないと思います。」


韓国の主婦
 「両方の国家がこのままなら、平行線を行くほかない。」

 
日本と韓国はどうすれば、関係を改善することができるのか、考えます。

 

有馬
「韓国で、日本の集団的自衛権の行使容認に反発が広がるなど、このところ日韓関係は一段と悪化しています。」

 

黒木
「それを裏付けたのがこちら。
日韓双方の民間団体が行った共同世論調査の結果です。
相手国に対する印象が『良くない』、『どちらかといえば良くない』と答えた人が、日本側で50%を越えました。
一方の韓国側では70%に上るなど、日韓関係の冷え込みぶりをあらためて示しています。」

有馬
 「今日(23日)は、こうした状況の今だからこそ、日韓関係についてじっくり考えてみたいと思います。」

 


どうすれば改善できる 日韓関係


黒木
 「スタジオには、ゲストをお招きしています。
 静岡県立大学准教授の奥薗秀樹さんです。
 この世論調査の結果、どのようにご覧になりますか?」


 

静岡県立大学准教授 奥薗秀樹さん
「そうですね、非常に厳しい数字が出ていると思いますけれども、ただ今、とりわけ韓国においては、本心はそうでなくても、日韓関係について肯定的な意見を述べるのが非常にはばかられるような、そういう雰囲気があるというのも事実だと思いますね。」
 
有馬
 「日本と韓国は関係改善のために何が必要なのか。
 先週、ソウルで開かれたシンポジウムをもとに、その手がかりを探ります。」

 

 

“日韓未来対話” 関係悪化の原因は
 

ソウルで開かれた、「日韓未来対話」と題されたシンポジウムです。
日本と韓国の政治家や研究者、経済人など、およそ30人が参加。
日韓関係について、長時間にわたって議論を交わしました。
日韓関係はなぜここまで悪化してしまったのか。
それぞれの国に存在するナショナリズム。
そして、政治家の姿勢や言動に責任の一端があるという指摘が相次ぎました。
 

元外交通商省長官 ユ・ミョンファン(柳明桓)氏
「誤解がもとで悪化した世論を(政治家が)意識しすぎている。
日韓関係の改善のために積極的に取り組むべきなのに、世論の影響を受けすぎて自分たちのやるべきことをおろそかにしている。」

 

元外相(民主党) 松本剛明氏
「『政治家の言動』という指摘がかなりあった。
外交で国民の支持を追加的に得ようという言動を、トップの政治家はすべきではない。」
 

両国の一部の市民による先鋭的な動きが、相手国の国民感情を悪化させることにつながっているとの指摘も出ました。
 

慶応大学教授 添谷芳秀氏
「日韓関係に対して必ずしも前向きでないグループが日韓両方にある。
その一部の声が全体に対する拒否力を持たないように、我々はお互いの民主主義を健全に管理していくことが大事。」


さらに、日韓両国の距離を遠ざける原因のひとつとされたのが、中国との関係です。
沖縄県の尖閣諸島をめぐって、中国との間で緊張が続く日本。

 

反対に韓国のパク大統領は、今月(7月)、中国と5度目の首脳会談を行い、良好な関係をアピールしています。


元外務副大臣(自民党) 逢沢一郎氏
「韓国では、アメリカ・中国がG2という議論があるという話があったが、そのことにどう向き合っていくべきか。」

 

元外交通商省長官 ユ・ミョンファン(柳明桓)氏
「『(韓国が)中国と手を取って日本を無視し、けん制しようとする』という誤解が、公には言われないが日本人の中にあるようだ。
しかし韓国が中国と手を取って日本をけん制するということは、考えたこともないし、あり得ない。」

 

 

日本と韓国 関係悪化の原因は?


有馬
 「今シンポジウムのVTRにありました日韓の関係、なんでここまで悪くなったのかという議論だったんですが、どのようにご覧になりましたでしょうか?」

 

静岡県立大学准教授 奥薗秀樹さん
 「日韓両国の問題ではあるんですけれども、これはもっと広くですね、東アジアの国際秩序というものが大きく変わっていく中で起こっている1つの現象だというふうに捉える必要があるんだと思うんですよね。
 アジアでは長い間、日本だけがひとり先を行って、そのあとを必死で追いかける韓国と、そして眠れる大国・中国という時代が長かったんですが、それが大きく変わってですね、とりわけ日本はバブル崩壊以降、なかなか停滞から抜け出すことができずに、プライドを傷つけられ、若干自信喪失気味のところがある一方で、韓国はその間、躍進して、そして国際的地位を向上させて、その自信を深めているという変化があってですね、韓国だけが日本を一方的に必要とするような時代がもう終わりを遂げて、そして何と言いますか、日清戦争以降もしかしたら初めて、日韓双方が対等化しつつあるような、そういう時代を迎えつつあるという側面があると思うんですが、双方ともそういった変化をなかなかうまく消化できずにいる中で摩擦が起きているという気が致します。」
 
黒木
 「やはり中国の存在というのが、日韓関係に大きな影響を及ぼしているということですけれども、そのあたりはどのようにご覧になっていますか?」
 
静岡県立大学准教授 奥薗秀樹さん
 「あると思いますね。
 やはり、中国に対する認識を日韓で共有、なかなかできないというところがあるのは事実だと思います。
 それは、韓国にとっての中国というのを考えてみますと、やはり経済的に中国に対する依存度というのは、日本よりもはるかに大きいものがあります。

 

貿易相手国としても、対米と対日の貿易総額を足しても、対中に及ばないというのが現状ですし、あるいは日本に比べて韓国は非常に国内市場が狭いですね。
 さらに人口減少時代がもう目の前に迫っております。
 そういったことを考えますと、韓国経済の今後の成長にとって、中国マーケットというのは絶対に欠かすことができない、大きな比重を占めているということが言えるんだろうと思います。
 それからもう1つはですね、これはアメリカや日本にはない要素ですけれども、何と言っても韓国は分断国家です。
 ですから北朝鮮という非常に不透明な、ある意味大きな荷物を韓国は抱えているという側面があると思うんですよね。
 そういう北の脅威というものを制御して、何とかコントロールしていって将来の平和的な統一へと結びつけていくためには、北朝鮮の最大の支援国である中国の協力が絶対に欠かせないという側面があって、韓国としては中国との関係を非常に重要視せざる得ない、そういう側面があるんだと思うんですよね。
 その結果、日米韓連携とよく言われますけれども、韓国としては北朝鮮問題に対するための日米韓連携は必須だけれども、中国を牽制するための日米韓連携というのには安易に同調できない部分があるんだと思います。」
 
黒木
 「日韓関係をテーマにソウルで開かれたシンポジウム。
 戦後最悪といわれる関係をいかに改善するのかをテーマに、議論は進みました。」

 

 

“日韓未来対話” 関係改善のカギは


日韓の隔たりを埋めるカギは、どこにあるのか。
 政治が冷え込んでいる中でも着実に続いている、市民レベルの交流やメディアの役割が大きいという声が出ました。
 

元駐日大使 シン・ガクス(申ガク秀)氏
「青少年、地方自治体、文化など、多方面での日韓のより深い交流が大事だと思います。」

毎日新聞 論説委員長 小松浩氏
「我々(メディア)がいかに曇りのない目で、等身大の相手を伝えられるかが、今後の未来の日韓関係にとって、極めて大事になってくる。」

さらに、日本からも韓国からも重視されたのは、政治家の役割です。
政治家が率先して行動を起こすべきだという声が相次ぎました。

 

新政治民主連合 国会議員 キム・ヨンファン(金栄煥)氏
「韓国の政治家は日本国民を意識して発言し、行動してほしい。
日本の政治家や首相も、韓国の感情や痛みを考えて行動してほしい。
双方の政治家が相手国の国民を刺激するようなことをしてはいけないと思います。」

 

元外務副大臣(自民党) 逢沢一郎氏
「ぜひ首脳会談を両首脳の大いなる決断で、オバマ大統領の仲介がなければ会えないのは、両国にとって恥ずかしく、みっともない。
そういう共通の認識にぜひ立ちたい。」

 

 

日本と韓国 関係改善のカギは?


有馬
 「政治の役割が重要だというシンポジウムの話だったんですけど、悩ましいのは両国の政治のトップがどうもしっくりいかないと、こういうところですよね?」
 

静岡県立大学准教授 奥薗秀樹さん
 「そうですね。
 現在の日韓関係の悪化の1つの特徴として、トップ同士の間で、歴史論争というものが行われているというところにあるんだと思うんですよね。
 その結果、例えば外交当局の間で話をする場合も、なかなかトップ同士がそういう状況ですので、動ける範囲が狭くなりますし、またメディアを通して社会全体に一気に歴史論争というものが広がっていってしまうという側面があると思うんですよね。
 その結果、政治家も含めて官僚も、リスクを犯してまで関係改善というものを働きかけるよりは、互いに悪いのは向こうだというような形で、突き放して相手を非難し続けているほうが無難になってしまうというような側面があって、なんとしても関係を改善させなければならないという、そういう力というものがなかなか働きづらい状況ができてしまっているような気が致します。
 ですからトップ同士が政治決断をしないと、なかなか解けていかないような、大きな問題に両国の関係が悪化していってしまっているんですが、残念なことに両国の首脳2人とも、どっちかって言えば内向きな姿勢があると思いますね。
 やはり安倍総理は日韓関係よりも憲法改正の方に優先順位を明らかにおいておられるでしょうし、パク・クネ大統領もやはり日本との関係というのは他の韓国の政治家にも増してですね、お父さんから引き継いだ日本との関係のイメージを国民に持たれておりますので、どうしても非常に慎重にならざるを得ない。
 下手をすると一気に求心力を失いかねないような、そういうリスクを非常に伴う問題になってしまっているということがあると思うんですね。」
 
黒木
 「とは言ってもやはりトップ同士、政治家の役割というもの、すごく重要になってくると思うんですが、具体的にはどうしていけばいいんでしょうか?」
 
静岡県立大学准教授 奥薗秀樹さん
 「はっきり言って特効薬はないと思います。
 トップ同士がダメなんであればですね、なおさら、例えば外交当局間の対話、これはもう局長級でも次官級でもいいんですけども、それを平行線をたどってでもいいから、続けていって、定例化していって、その中で少しずつ信頼関係というものを取り戻していくということが必要だと思いますし、両国の間には何も対立する点や相違点ばかりがあるのではなくて、合意できる問題もあると思うんです。
 例えば環境問題ですとか、いろいろな面で、日本と韓国は利害を共有できる部分があるんですよね。
 そういうところから1つ1つ合意をつくっていくと。
 そういうことが求められるんだと思いますね。」
 
有馬
 「ボトムアップで対話のパイプを続けようということですね?」
 
静岡県立大学准教授 奥薗秀樹さん
 「そうすることによって、トップ同士が決断できる環境ができていくと思います。」